天涯門への道

2004年7月6日 空蝉
 星の合図に 誘われて
 ぼくは一人で 旅立った

 海のさざめく 海岸で
 ぼくらが出会った あの場所へ
 
 砂地のざらつきも
 昼間の慌しい人ごみも

 もう ぼくにはわからない
 感じ取れない

 ああ こんなぼくを
 誰か 悲しむ人はいるのだろうか

 地上にいた時は 
 いつも空ばかり見ていたぼくが

 空の住人になった瞬間
 大地の方ばかりに目を向けている

 哀しい カナシイ

 なんという遅滞だろう
 今から次の世界へと旅立とうとしているのに

 なんという孤独だろう
 今から親しかった人達とばかり再会できるというのに

 どちらからも引っ張られ
 ぼくは 二つに引き裂かれそうな気分になった 

 ああいっそこのまま 
 ぼくは 空と大地をつなぐ 雨となりたい

 涙と共に大地に降り立っては
 空虚と共に天へと昇る 一雫の雨粒となりたい

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