高級品

2004年2月8日 空蝉
 錆びた真っ赤なドアを開けたら
 翡翠の色をした 天窓が見えた

 翼をはばたかせ そこに向かおうとすると
 奈落の底へと 落ち続けた感じがした

 ああ なんて幸福だ

 沈黙という純粋さが 誘惑を与えてくる
 貶めようとしているくせに
 虚空という静謐さが 往生に見えてくる
 寂しさの裏返しのくせに

 億万光年も離れた 冥王星ほどの小ささの僻地で
 僕は リュートを奏でている

 この瀕死の惑星に 生の胎動を与える為に
 彗星の運転手に 美しい地球へと
 連れて行ってもらう為に

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